【第43回】
「お久しゅうござります。母上。」
「遮那王、にわかに何事じゃ?そなたが一向、得度をせぬと、僧都様から伺うておる。」
「私はいつの日か、亡き父に代わって、平家を倒す所存。」
「何を…何を世迷言を?いかなる事情であったとしても、そなたの父代わりとなって育てて下さったお方。そのご恩を忘れて刃を向けようなどと、ゆめゆめ思うてはならぬ。」
「母は、許しませぬ。」
「お許しを頂きに参ったのではござりませぬ。お別れを申しに参りました。遮那王は親不幸者にござります。」
「遮那王!」
「わしが現れたばかりに、すまぬな。されど、わしと遮那王、いや、牛若が再び会うたは、これはただの縁ではあるまい。定めじゃ。」
「定め?」
「さよう。あの平治の戦で背負うた、定めなのじゃ。わしも、牛若も。そなたも。」
「そなたの父、義朝様より一字頂戴しました。本日より義経と名乗るがよい。義経…強き源氏の武者となりなさい。」
【第36回】
「鞍馬寺の僧都様じゃ。ご挨拶せよ。」
「牛若と申します。」
「せんだって言うたとおり、年が明けたら、僧都様のもとで修行をし、いずれ僧侶となるのじゃ。よいな?」
「はい、母上。」
「私のつとめは、生きて子らの命を守ること。まことの事を知れば、牛若はいずれ、きっと命を落すことになるでしょう。」
【第34回】
「相国清盛様が…病篤いそうじゃ。」
「えっ?父上が?」
「牛若。清盛様は…。そなたの父ではない。そなたの父は…まことの父は…。」
「牛若。そなた、年明けたら鞍馬へ参れ。寺に入るのじゃ。そなたには、心安らかに生きてもらいたい。憎しみとも、悲しみとも無縁に。」
【第33回】
「早うお会いしとうござります!」
「牛若!申し訳ござりませぬ。今日が五十の賀の宴とこの子が聞きつけ、何としても、清盛様にお祝い申し上げたいと…」
「はい。されど、この子が五つの年まで清盛様にお世話いただいておりましたゆえ、実の父は、清盛様だと思いこんで…」
「はいはい。」
「まことにござりますよ」
【第28回】
「牛若。牛若。」
「鬼若殿。私は子らを連れて都へ戻り、六波羅に参ります。こうして無事、牛若を産む事が出来たは、そなたがかくまってくれたゆえ。かたじけのう思うております。それゆえにこそ、私は何としても今若、乙若、そして牛若の命を守りたい。」
「私は賭けてみとうござります。清盛様の、お慈悲に。」
「わが身はどうなっても構いませぬ。どうかこの子らの命をお助け頂けますよう、何とぞ…何とぞ!」
「その乳飲み子は?」
「暮れに生まれたばかりの、牛若にござります。」
「暮れ…」
「これは…清盛様。」
「はい。」
「もとより、その覚悟にござります。常盤は源義朝の妻にござります。」
【第27回】
「申し訳ござりませぬ。お知らせするつもりはござりませなんだものを…。されど、お伺いせずにはおられませんでした。何故、かような大それたことを…。」
「殿。」
「近寄るな!そなたは本日これより、我が妻にあらずと心得よ。」
「きっと、勝って下さりませ。そして…この子を抱いてやって下さりませ。常盤はずっと、あなた様だけの妻にござります。」
「牛若と名づけよ。」
「牛若。」
「無礼者!近寄るでない!」
【第25回】
「誇り高きお方。母が心より敬っておったお方じゃ。」
「もう、ここへはお渡りにならないで下さりませ。殿はおつらき時ほど、私の元へおいでになる。私はもう、殿の逃げ場にはなりとうござりませぬ。」
「分からぬか?由良様を失われたお悲しみは、決して、ここでは癒やせぬ。」
【第23回】
「さような事は…」
【第22回】
「母上。由良様は大きなお方にござります。まこと、ご正妻の器をお持ちのお方。私など、足元にも及びませぬ。」
【第21回】
「私は…殿のご無事ばかりを祈っておりました。」
【第20回】
「殿は、お父上やご兄弟、それに正清とまでも敵味方となって戦うと、伺うておりまする。それでよいのでござりまするか?掛け替えのない、あなた様のお身内ではござりませぬか。」
【第19回】
「今若も乙若もいずれ太刀を振るうようになるのでしょうか?」
【第17回】
「お久しゅうございます。その節は…」
【第16回】
「お父上と、けんかなさったのですね。(笑)恋しがっておいででしたもの、義朝様は。お父上の事を。まことはお父上のお役に立ちたいと、望んでおいででしたもの。」
「お久しゅうござります。母上。」
「遮那王、にわかに何事じゃ?そなたが一向、得度をせぬと、僧都様から伺うておる。」
「おお!ありがたい。覚えておられたか。アハハ今は、弁慶と名乗る。」
「何故、そなたが遮那王と?」「私はいつの日か、亡き父に代わって、平家を倒す所存。」
「何を…何を世迷言を?いかなる事情であったとしても、そなたの父代わりとなって育てて下さったお方。そのご恩を忘れて刃を向けようなどと、ゆめゆめ思うてはならぬ。」
「母は、許しませぬ。」
「お許しを頂きに参ったのではござりませぬ。お別れを申しに参りました。遮那王は親不幸者にござります。」
「遮那王!」
「わしが現れたばかりに、すまぬな。されど、わしと遮那王、いや、牛若が再び会うたは、これはただの縁ではあるまい。定めじゃ。」
「定め?」
「さよう。あの平治の戦で背負うた、定めなのじゃ。わしも、牛若も。そなたも。」
「そなたの父、義朝様より一字頂戴しました。本日より義経と名乗るがよい。義経…強き源氏の武者となりなさい。」
【第36回】
「鞍馬寺の僧都様じゃ。ご挨拶せよ。」
「牛若と申します。」
「せんだって言うたとおり、年が明けたら、僧都様のもとで修行をし、いずれ僧侶となるのじゃ。よいな?」
「はい、母上。」
「私のつとめは、生きて子らの命を守ること。まことの事を知れば、牛若はいずれ、きっと命を落すことになるでしょう。」
【第34回】
「相国清盛様が…病篤いそうじゃ。」
「えっ?父上が?」
「牛若。清盛様は…。そなたの父ではない。そなたの父は…まことの父は…。」
「牛若。そなた、年明けたら鞍馬へ参れ。寺に入るのじゃ。そなたには、心安らかに生きてもらいたい。憎しみとも、悲しみとも無縁に。」
【第33回】
「早うお会いしとうござります!」
「牛若!申し訳ござりませぬ。今日が五十の賀の宴とこの子が聞きつけ、何としても、清盛様にお祝い申し上げたいと…」
「はい。されど、この子が五つの年まで清盛様にお世話いただいておりましたゆえ、実の父は、清盛様だと思いこんで…」
「はいはい。」
「まことにござりますよ」
【第28回】
「牛若。牛若。」
「鬼若殿。私は子らを連れて都へ戻り、六波羅に参ります。こうして無事、牛若を産む事が出来たは、そなたがかくまってくれたゆえ。かたじけのう思うております。それゆえにこそ、私は何としても今若、乙若、そして牛若の命を守りたい。」
「私は賭けてみとうござります。清盛様の、お慈悲に。」
「わが身はどうなっても構いませぬ。どうかこの子らの命をお助け頂けますよう、何とぞ…何とぞ!」
「その乳飲み子は?」
「暮れに生まれたばかりの、牛若にござります。」
「暮れ…」
「これは…清盛様。」
「はい。」
「もとより、その覚悟にござります。常盤は源義朝の妻にござります。」
【第27回】
「申し訳ござりませぬ。お知らせするつもりはござりませなんだものを…。されど、お伺いせずにはおられませんでした。何故、かような大それたことを…。」
「殿。」
「近寄るな!そなたは本日これより、我が妻にあらずと心得よ。」
「きっと、勝って下さりませ。そして…この子を抱いてやって下さりませ。常盤はずっと、あなた様だけの妻にござります。」
「牛若と名づけよ。」
「牛若。」
「無礼者!近寄るでない!」
【第25回】
「誇り高きお方。母が心より敬っておったお方じゃ。」
「もう、ここへはお渡りにならないで下さりませ。殿はおつらき時ほど、私の元へおいでになる。私はもう、殿の逃げ場にはなりとうござりませぬ。」
「分からぬか?由良様を失われたお悲しみは、決して、ここでは癒やせぬ。」
【第23回】
「さような事は…」
【第22回】
「母上。由良様は大きなお方にござります。まこと、ご正妻の器をお持ちのお方。私など、足元にも及びませぬ。」
【第21回】
「私は…殿のご無事ばかりを祈っておりました。」
【第20回】
「殿は、お父上やご兄弟、それに正清とまでも敵味方となって戦うと、伺うておりまする。それでよいのでござりまするか?掛け替えのない、あなた様のお身内ではござりませぬか。」
【第19回】
「今若も乙若もいずれ太刀を振るうようになるのでしょうか?」
【第17回】
「お久しゅうございます。その節は…」
【第16回】
「お父上と、けんかなさったのですね。(笑)恋しがっておいででしたもの、義朝様は。お父上の事を。まことはお父上のお役に立ちたいと、望んでおいででしたもの。」
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