感じる存在感
松山ケンイチ/チョンジフン(Rain(ピ))2人の若き才能ある俳優/歌手を応援しています
2015.8.5記述
週刊文春8/6号「見もの聞きもの テレビ健康診断」にて

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かつてど根性キャラで人気者だった少年が、いまじゃ職なし、やる気もゼロの三十男だ。そんな主人公ひろしを松山ケンイチが演じる。
脚本は岡田惠和。ジョージ秋山のマンガ『銭ゲバ』ドラマ版で、すでに松ケンとの相性の良さは実証ずみだ。すごかったな、『銭ゲバ』。残虐性、疾走感、悲哀。そのどれもが、原作とは趣を違えた過剰さにあふれ、強いインパクトを残した。

アニメ版の16年後が舞台だ。
Tシャツに貼りついた平面ガエルのピョン吉(満島ひかり)と活躍してころの覇気が失せたひろしに、母ちゃん(薬師丸ひろ子)もピョン吉も呆れるばかり。

ていねいに手でTシャツを洗ってくれる母ちゃんに、ピョン吉が問いかける。「なんでオイラ、ずっと生きてるんだろ?」。カエルの寿命は4年なのに。「オイラ、平面ガエルになって16年だ」。母ちゃんは「そりゃまた、本格的な質問だね」と応える。ピョン吉はカラダの衰えに気づいている。ダメひろしを全力で助けた後に、ピョン吉の左目はペラッと剥がれそうになる。そのたびに「根性、根性!」で貼りつけるが、「オイラ、もうすぐ寿命なんじゃねか」と猫に弱音を吐く。

16年がたち、登場人物も相応に歳をとったが、基本は変わりない。寿司屋の梅さん(光石研)は、よし子先生(白羽ゆり)にまだプロポーズできないし、町田校長(でんでん)は何かといえば「教師生活41年」だ。弟分の五郎(勝地涼)は警察官になったが「先輩、ダメでやんすよ」の口調はそのままだ。

下町の片隅に生きる人々の人情の機微と生活は一見、何の変化もない。少なくとも、バカで繊細さを欠いたひろしには、明日も来年もこの光景はつづくとしか思えない。偶然ピョン吉の目がTシャツから剥がれかかる場面を見た母ちゃんは「永遠につづくもんなんてないんだよ」と怒るが、ひろしには通じない。

アップに遠景にと、随所に東京スカイツリーの姿が挿入される。街も激変しているのだが、ひろしは気づかない。人も変わる。憧れの京子ちゃん(前田敦子)は離婚して、街に戻ってきた。性格も変わった。ガキ大将だったゴリライモ(新井浩文)はパン工場の若社長だ。明るい下町におびただしい死の気配が蠢く。ひろしだけが気がついていない。その愚かさ故に、誰もがひろしを許し、愛している。文句なしの今季ベスト作だ。

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「銭ゲバ」の時もちゃんと物語の本質をご覧になってて、ケンちゃんの演技、岡田さんの脚本を正しく評価してくださったんですよね。そして今回の「ど根性ガエル」も松ケン・河野・岡田のタッグ再びで楽しみにしてくださって、今期ベストと折り返し前だけど断言してくださってて…

さて、後半戦、ひろしとピョン吉の運命がどうなって行くのかドキドキしながら見届けていきたいと思います。

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