感じる存在感
松山ケンイチ/チョンジフン(Rain(ピ))2人の若き才能ある俳優/歌手を応援しています
2016.11.14記述
Filmers.より


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来週11/19(土)公開『聖の青春』森義隆監督へのインタビュー最終回は、ラストシーンの村山聖(松山ケンイチ)VS羽生善治(東出昌大)の対局シーンについて、さらにお話を伺いました。監督が語る「演出の向こう側」とは具体的にどのようなシーンを指すのか? 語っていただきました(*第2回インタビュー『松山ケンイチVS東出昌大 対局を丸ごと覚えて挑んだノーカット3時間の長回し』も併せてお読みいただくと、この映画への理解がさらに深まりますよ)。


原文はこちら


誠実に見つめつつ、ドラマがほとばしるように撮ってくれている


――先程話された食堂のシーンの撮影が本当に素晴らしくて、窓の外の雪のタイミングと店員が食事を運んでくるタイミングが抜群でした! 撮影監督は、北野武作品でも有名な柳島克己さんですが、選ばれたのは、村山の生きた90年代を再現するという意味もあったのですか?

もちろん柳島さんを選んだのは僕なんですけど、90年代を再現するために必要だったわけじゃなくて。誘導するような演出をしない中で、静かに誠実にものを見つめてそれをお客さんに投げるという時に、必要なカメラマンが柳島さんだったという感じですね。その食堂のシーンでも淡々と見つめているんだけど、あるドラマがちゃんとスクリーンからほとばしるように撮ってくれていますよね。

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――初めて組まれたとのことですが、事前にイメージの話し合いなどはされました?

そうですね。ここは横アングルだけで行こうと提案したり、そういうのは撮りながらやりましたね。ただやっぱり、食堂のシーンの柳島さんは素晴らしいですよね。



――あと東北大会戦のシーンも素晴らしかったです。どちらも引きの2人を映すシーンで。

羽生と村山が将棋盤を挟むのが「美しく」なってきたのが、あのシーンを撮っているあたりからだったんです。(それぞれの俳優が)羽生になっていった感じと村山になっていった感じと符合したので、すごく画も美しいし、2人の美しさが前提にあるシーンだと思いますね。


盤面の音や指先の表現が、2人の会話に見えてほしいと思っていた


――対局のシーン、羽生と村山では、駒を将棋盤に置く音も違いますよね。

それはやはり「対話」なので。撮る上で盤面の音や指先の表現が、2人の会話に見えてほしいと思っていたので。音は全コマをアフレコしてるんですよ。もちろん現場の音もあれば、後から差し込んだ音もありますが、会話のリズムのように、2人の会話に聞こえるようにというところはこだわりました。


――そのせいか、実際に2人が会話をするシーンは少ないにも関わらず、2人の関係性が伝わります。

そうなんですよ。でも、食堂での2人の対話と、対局とのコントラストは意識してましたね。食堂のテーブルが盤面になったときには同じシーンでもこうなるというか。それが勝負になるともう“死闘”なわけで。でも居酒屋に行くとあんな話になるという。



――今回はBGMが少なく、例えば居酒屋のシーンではBGMがないことで、東出さん演じる羽生のひとことが胸に残ります。

取材していく中でタイトル戦を見ると、対局室の静寂はインパクトがあって、本当にその場に居たくないほどなんです。無音の圧というか、音がないことの圧力が凄まじい。それを映画で表現したいとすごく感じたんです。



あと音楽に関しては、半野喜弘さんという音楽家と相談しながらやっていったんですけど、基本的にはシーンに対しては音楽は付けず、映っていないものを音楽にしてくださいという話はしました。それは時間とか空間を捉えるんじゃなくて、そこを飛び越えた音楽を使えるところだけ使うというイメージでしたね。



――映画では、クライマックスで感動する音楽が流れたり、緊張するシーンで緊張感のある音楽が流れたりしますが、そういうものがありませんでした。

それは演出全般、現場でも意識していたんですけど、自分の中でこう伝えたいということを村山さんの人生に対してやるのは、ある意味おこがましいと思っていたんです。それは僕が結論付けることじゃなく、松山くんの体を借りて村山として生きてもらって、それを僕が誠実に見つめ続けたものを、お客さんを信じてそのまま投げようと思ったので。だから、どこでどう感じて欲しいと誘導するような演出は、今回は基本的には排除してますね。実際にいた人物で、しかも29歳で亡くなるということに対して、結論を付けたくなかったというか。お客さんが結論づけてくれればいいなと。


僕の中では、撮っている時には29歳で死んでしまうってどんなに辛かったんだろうと考えていたんですけど、最後、撮り終わった時に、「この人は幸せな男だったんじゃないか」ということをふっと感じられたんですよ。


それを別に音楽にする必要はないし、僕はそう感じたけど、観る方がどう感じるかは信じて委ねて、どういう形でもいいんじゃないかと思っています。

(編集後記)
2人の若き天才が、それぞれの「宿命」を背負って行く姿が愛おしい…とても良質な作品『聖の青春』は11月19日(土)公開です。生きる、生き切るとは、どのような姿をさすのか? 是非、劇場で目撃してください。

きっと原作を読んでいる人たちにとっては色々それぞれの思い入れがあると思うけれど、それを映像としてみたときに何を感じるのか、本では伝わらない村山さんのその時々の心情をどう私たち観客が感じるのか、あと少しですね。


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