感じる存在感
松山ケンイチ/チョンジフン(Rain(ピ))2人の若き才能ある俳優/歌手を応援しています

鑑賞記録
1回目 2017.9.23
2回目 2017.9.25
3回目 2017.9.30
4回目 2017.10.5
5回目 2017.10.10

初日001



ペット同伴のペンション&カフェを営んでいる亮介。恋人の千絵と幸せな時間を過ごしていたある時、突然、千絵が自分の元から消え、そのショックも冷めないうちに、父親洋介が末期がんということを告げられる。ある日、自宅の父の部屋から見つけた一冊のノート。「ユリゴコロ」と書かれたノートには、ある人物が書いたと思われる信じられない内容が綴られていた。それからは、仕事に戻っても、そのノートのことが気になって仕方のない亮介。度々、父親を口実に実家に戻ってはそのノートを読み進めていく。

読んでいくうちに、それを書いた人物は自分の母親ではないかと思い始める。母の人生、そして自分の生い立ちを知らされることとなり、苦しむ。そんなある日、千絵の以前の仕事仲間だという細谷という女性がシャギーヘッドにやってきた。千絵から頼まれたと伝言を亮介に伝える。その女性をなぜかとても気になる亮介。そしてついに亮介は父親にノートのことを話す。そこから母親と父親のその後の話を聞かされショックを受ける。千絵を助けるために、湧いてくる殺意。そして衝撃の真実が…

映画という決められた時間の中で、この難しいテーマの作品をどう収拾させるのか?どうしても原作のままというわけにはいかないので、原作と比べて半分くらい改編されています。

とはいっても、物語の核の部分はちゃんと盛り込まれているので、原作を読んでいる方も「そう来ましたか」と感じてもらえると思います。よくPG12での公開ができたなと思うほど、特に前半はリストカットや嘔吐(拒食症による)シーン、そして人が死ぬシーン、ムカデやカエルや虫など、メンタルが弱い人、血が苦手な人にとっては、苦痛の何物でもないシーンがひたすら続きます。

しかし、そこは何とか踏ん張って退席しないでほしいのです。ここを乗り切ってもらわないと、この作品の本当の物語がわからなくなるので、がんばってください。それを超えて、ケンちゃん演じる洋介と美紗子が会うシーンから物語が本当の意味で進んでいきます。虫なども登場しますし、この作品のキーパーソンであるオモナミ(原作ではヌスビトハギ)なども出てきます。

映像がまた印象的で、暗いシーンは本当に暗く、血などはより赤く、美紗子の心理状態で明暗のメリハリが効いていて、現代パートは全体的にパステルの雰囲気というかこちら亮介の心理状態で変化させてるのかなと思ったりしました。

2回目に行った時、友人と一緒だったんですけど、友人も「もし1人やったら、途中でリタイヤしていたわ。でも事前にケンちゃんが出てくるまで頑張れ、そこを乗り越えないと容赦のない愛の意味が分からないよと、mayに言われたから、踏ん張ったけど、その意味が分かったわ。あのシーンを乗り越えないとたどり着けんかった」と。

あと、友人が「この作品で、ケンちゃんが凄い役者だということを本当の意味で分かったわ」とも。いままでも、いい役者さんだということは言ってくれていたけれど、本当に松山ケンイチではない、洋介として違和感なく美紗子にそして亮介に容赦のない愛を与えていたと。

愛というのは暖かくも、冷徹にも、残酷にもなる。愛する人を守るために再び封印されていたユリゴコロを呼び起こす。その先にあるものとは。単なるミステリーでも恋愛映画でもない、愛の苦しみの先の光を感じてほしいです。

そうそう、エンドロールでケンちゃんの名前が最後(役者さんのクレジットのラスト)に出て来てなんだかそれも感慨深いものがありました。関ケ原の時も最後から2番目(最後は役所広司さん)でそれも短くて特別出演にもかかわらずでのあのクレジットにそれほどの役者さんになりつつあるんだなと思いました。

この先はネタバレになるので、これから作品を見る予定の方、ネタバレがいやな方はお引き取り下さい。
あくまで私自身が感じた感想になります。













まず、小説と映画との違いに付いて
【主な改編部分】
・亮介の家族設定…小説=父、母(実は美紗子の妹)、弟、祖母→映画=父と子の2人
・亮介の職業設定…小説=ドックラン併設のカフェ経営→映画=ペット同伴のカフェもあるペンション、名前はどちらも「シャギーヘッド」
・美紗子の家族構成…小説=父、母、妹→映画=幼少期に母親だけ登場
・美紗子の経歴…小説=高校卒業後、専門学校、OL、娼婦→映画=高校卒業後、調理師の専門学校、レストラン、娼婦
・亮介と美紗子の関係…小説=シャギーヘッドの従業員として細谷という名で働いている→映画=千絵の昔の同僚
・千絵の旦那塩見の設定…小説=やくざから借金をしているやくざまがいの男→映画=やくざ
・千絵の救出方法とエンディングの設定…小説=亮介が塩見に会う以前に細谷が塩見を殺害、洋介は年に1度美紗子と会っていた。そして洋介と車で旅立つ、映画=亮介が塩見の事務所に行くとすでに塩見とその部下が死んでいる、亮介から洋介の病状と病室を告げられ、洋介の病室で再会



なにより、役者さんたちの演技が凄い。まず、過去パート。
美紗子は複数名で演じ分けられているんだけど、最初に登場する幼少期の美紗子を演じている平尾菜々花ちゃんが凄いんです。この時代に美紗子と絡みのあるミチルちゃんを演じている子役ちゃんと共に、本当にこの子たちの将来は大丈夫かしら?メンタル的に?とあまりの凄さに観てるこちら側の私たちが心配してしまうほどでした。そして、学生時代の美紗子を演じる清原果耶ちゃん、台詞はないけれど、表情で美紗子を見事に表現していました。

みち子を演じている佐津川愛美さん、いろんなドラマなどに出演していて、ホワンとしたお嬢様も演じられるし、ヒメアノールでの大胆な濡れ場を演じる度胸のある女優さん。今回も異質な空気をまとい、リストカットで生きている実感と、快感を感じている、そして摂食障害もある、とても複雑で難しい役に挑んでいました。登場した瞬間から生気も血の気もなくて、怖いほどでした。

美紗子との友情のためにリストカットをやめようと約束しても、彼女にとってそれをやめるということは結局、死しか方法はない。苦しいシーンばかり、ここで挫折する人は多いかもしれません。

そして吉高由里子さん、少ないセリフの中でも、その存在感、一体彼女は何を考えているんだろうと思わせてくれる表情。単に冷徹と言いうわけもない。みち子に対してユリゴコロを持ちながらも、自傷行為を快感とする彼女の気持ちに寄り添ったり、でもそんな中でも、自分のユリゴコロを満たすために殺すタイミングをうかがっていたりもする。そしてその後、色々あり、運命の男性洋介と出会います。

最初はその男性に対してもユリゴコロをもって接していたけれど、実は彼が抱えている暗い闇の原因になることが自分だったと知った後、珍しくショックを受け、歩道橋でフェンスに何度も頭を打ち付けている姿は切なかった。洋介と結婚して亮介が生まれてからの数年間は本当に穏やかで、それまでの彼女と同一人物とは思ないくらいでした。

しかしその後、昔の仕事関係の男性がやってきた時、怖がる亮介を守ろうとする美紗子の母としての力強さ、しかしその後のことで洋介に小さな嘘をつくことで、苦しむ。そして手記を書く時の切ない表情。そして、洋介にノートを読まれてダムでのシーン。どうしようもない気持ち。そして洋介に二度と自分たちの前に現れるなと言われて置き去りにされた時の表情も観てて苦しくなり程でした。

その洋介を演じたケンちゃん。今回も本当に橋のたもとでただうなだれて座っているだけでも何とも言えない雰囲気を醸しております。美紗子と出会ってお金を渡したり、食堂で食事をさせたりするけど、その時の美紗子を温かいまなざしで見つめてる表情。今の自分がどうしてこういう生き方をしてるのかと話すとき(実は美紗子が殺したんだけど)とにかくいつもひたすら優しく、全部が悲しいオーラを纏っておりました。

運命を受け入れ、苦しみながらも美紗子とおなかにいる子供の夫、そして父となりますが、小説でも印象的なシーン。性的不能だった洋介が美紗子に初めて体を許すシーン。オモナミ(原作ではヌスビトハギ)が印象的すぎるほどに出てきますが、小説での美紗子の心情を具現化するとこんな感じなのかも、と私は思ったりしました。事前にケンちゃんが「巧妙に隠されお尻」とか吉高ちゃんが「金太郎」とか言ってるのはこういうことね。と思いながらもなかなかいいシーンだなと思いました。

そして赤ちゃんの扱いがやはり上手。全く違和感なくパパでした。そして、川のシーンからの病院でのノートを読んで全てを知るときの表情がなんとも言えません。自分がこうなったきっかけが全て、実は美紗子が関わっていたこと。そして知らずに美紗子を愛してしまったことの苦悩が切なくて…不謹慎だけど本当に、今までの演じた中でも1,2を争うほど優しい人でした。

そこから現代パートで洋介さんを演じていたのが貴山侑哉さんなんですが、特にケンちゃんが演じた洋介のユリゴコロのノートを見た後や、ダムでのシーンで苦しんでいるときの口元などの表情がそっくりなもんで、貴山さんは過去パートを見て、ケンちゃんに仕草とか寄せてきたのかな?と思いましたが、どうなんでしょう?…そして、中盤、亮介がノートを読んでいるところを洋介に見られてからの会話のシーンは、ケンちゃんが洋介の声をあてていますね。なんだか不思議だった。

松坂桃李さん演じる亮介は、登場した時から少し、闇の部分を持ってることをイメージさせる描写がありますが、普段は普通の爽やかレストランオーナーって感じなんだけど、恋人の千絵が失踪し、同時期に父親が末期がんと聞かされ、偶然見つけたノートを見つけて読み始めてからどんどん、えらいことになります。この、途中でノートを読むことを中断させられて、続きが気になりそわそわしてる感じ、映画を見てる人もかなり同じようにそわそわしてる人いたかも?そこに書かれている思いもよらない物語?告発書?に戸惑い混乱する亮介の変化がお見事でした。でも、ちょっと原作のイメージからすると過剰にキャラクターを作りこんでる気もしないでもありませんでしたけど…(汗)

千絵を演じている清野菜名さんもかなりハードなシーンをがんばって演じておりました。亮介といるときは穏やかで朗らかな感じでしたが、亮介の口から結婚と言われ同時期に彼の元から姿を消し、最後、亮介に救出されるとシーン的には少ないんですけど、彼女もこれからバンバン売れっ子になる逸材ですよね。

最後に細谷を演じた木村多江さん。小説を読んでいる人からすると、とってつけ感が無きにしも非ずって感じですが、こちらもやはり言葉の言い方、間の取り方、しぐさをかなり吉高ちゃんに寄せてきていましたね。実際かなり研究したとおっしゃっていましたしね。穏やかな口調なのに亮介が千絵を助けに行く、旦那を殺すということを聞かされた結果のあの惨事。そして、かつて住んでい家に行ったシーン。縁側で座っている洋介を切なそうに見ていた細谷の表情が忘れられないし、この時の木村さんの立ち姿や、洋介に声をかけたくても、ダムでの言葉を守ろうと思いながら葛藤する表情が吉高ちゃんと重なりました。(その後、あの凄惨なことをするんだよね)映画では、洋介と別れた後、警官に追われないように整形手術をしたという設定になっています。

映画を見た人の中で一番気になったのは多分、最後、千絵を助けるために亮介が塩見の事務所に塩見を殺す覚悟で行ったら、すでにみんな死んでいたシーン。レビューを見てもほとんどの人が「どうやって木村多江はやくざを殺したんだ?ありえないだろう、ドンだけ強いんだ」ということが書かれておりました。

確かに1度しか観ないと、まずはあの事務所の凄惨な状態、血まみれの事務所で4人くらい死んでいる姿見てびっくりだよね。
でも2回目見ると、結構冷静に観れてね、多分、私の見解としては、亮介が事務所に到着する前に、細谷が事務所に行った。どういう要件かはわからないけれど、とにかく事務所に行った時に、どこかで買ったコーヒードリンク(ストローを差して飲むカップタイプの物)を持参。

事務所に行く前に、その飲み物にあらかじめ何らかの毒物(食品関係の仕事している設定だし)を混入したものと思われる(実際過去パートで洋介の持っていた青酸カリを使って1人殺害してるし)

ただ、この時、全員が同時に飲まないといけないし、誰かが飲んですぐ苦しみだすとこれまた、下手すると生き残りが出たり、自分が返り討ちに合うリスクが高くなるので、全員が飲むところを確認しなければならない。そして飲んだのを確認して、苦しみだしてからかどうかわからないけれど、その場を離れたのではと(確実に死んでから亮介が事務所に到着しないといけないのに)。その時にひょっとすると、亮介に電話したのかもね。そしてそのドリンクを飲んだ塩見たちは毒物の中毒で苦しみもがき血を吐きながら絶命したもの思われます。

組員の中にはドリンクを持ったまま絶命している人もいるし、塩見の死体のそばにも飲んだと思われるコーヒーのカップが横たわっておりましたから。力ではさすがに無理ですからね。

ダムでの別れのシーン。「やっぱりだめだ!」と言って倒れるときも洋介さんはしっかり、美紗子が頭を打たないようにして、そして「2度と自分と亮介の所に戻ってくるな」と残酷な言葉…美紗子にとっての本当のユリゴコロを断ち切られてしまう、まさに生き地獄。でもそれは洋介もまた同じだったんだと思う。でもどこかで生きてるということがまたユリゴコロとなったんだろうし、洋介にとって美紗子に代わるユリゴコロはまさに亮介だったんだろう。帰ってくるなと言いながらもきっと、洋介さんはずっと美紗子が帰ってくることを待っていたのかもしれない。だからあの家から離れることが出来なかったんだと思う。最後、病室で再会する2人がカーテンが揺れて若い姿になるシーンは美しくもあり、切なかった。そんな父と母を思う亮介の涙も美しく切なかった。その後、美紗子と洋介さんはどうしたんだろうとふと考えてしまいます。



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コメント
この記事へのコメント
ユリゴコロ
こんばんは
やっぱり最後の方は松ケンの吹き替えだったんですね
一回目見たとき最後の方は声が松ケンのようだったので顔を特殊メイクかと必死で見てましたがやっぱり違うなあと、思ってました
2017/09/28(木) 21:10 | URL | 洋子 #/pdu0RA.[編集]
Re: ユリゴコロ
洋子さん、こんにちは<(_ _)>

> やっぱり最後の方は松ケンの吹き替えだったんですね
> 一回目見たとき最後の方は声が松ケンのようだったので顔を特殊メイクかと必死で見てましたがやっぱり違うなあと、思ってました

役者さんは違う人だったんですよ(笑)でもかなり雰囲気など過去パートに寄せてるように感じました。
途中で声が変わるのでびっくりしましたよね。でもまた何度でもみたいです。
2017/09/29(金) 05:38 | URL | K&R #hTYNULE6[編集]
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