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感じる存在感
松山ケンイチ/チョンジフン(Rain(ピ))2人の若き才能ある俳優/歌手を応援しています
2018.4.7記述
Realsoundより

原文はこちら

2017年は、イヤミスの女王とも呼ばれる沼田まほかるの小説『彼女がその名を知らない鳥たち』、『ユリゴコロ』が相次いで映画化された年となった。

 『ユリゴコロ』は、人を殺めることに心の拠りどころを感じる女性、美紗子(吉高由里子)を主人公として描かれる。美しき殺人者を演じる吉高由里子は、『婚前特急』(2011)、『横道世之介』(2013)をはじめとする映画作品や、テレビドラマでみせるような天真爛漫で快活な印象が強い。しかし『ユリゴコロ』の役どころでは、彼女が鮮烈なイメージを見せた『蛇にピアス』(2008)を思い起こさせるような妖艶さや儚さを纏っている。人殺しという罪を犯しながらも、映画が終わる頃には美紗子の幸福を願わずにはいられなくなってしまっているのは、そんな吉高由里子の底知れぬ魅力が存分に発揮されているからともいえる。


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 一方、『彼女がその名を知らない鳥たち』の十和子(蒼井優)もまた、共感しにくい女として描かれている。定職にもつかず、レンタルビデオ店や百貨店にクレームを入れ、同棲している相手がいるにもかかわらず、呆気なく不倫にのめり込んでしまう怠惰な女……。美紗子が愛を知らなかった女だとすると、十和子は愛に気付かなかった女である。一見すると共感不可能とも思えるこの2人の女性は、ともに“業を背負った女性”という共通項がある。そして、この癖のある女性像は沼田まほかる作品における大きな魅力の一つである。

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 もう一つ、沼田まほかる作品の特徴として挙げられるのは、物語が前半と後半で印象をガラリと変える点にある。たとえば『彼女がその名を知らない鳥たち』では、終盤に重要な真相が明かされたとき、不快なまでに爛れた情事の繰り広げられる映画が、一転して純愛映画へと変貌する。『ユリゴコロ』もまた違わず、物語は美紗子の風変わりな心性の独白によって淡々と半生が綴られていくサスペンス調の仄暗いミステリーから、一転して壮大なラブストーリーへと変貌する。そして、一貫して物語の根幹を支えるのは、愛とは一体何なのかという、愛に対する真摯な問いである。



 その愛を、映画ならではの映像表現で描いたシーンがある。『ユリゴコロ』の中には、多数の棘を持つオナモミと呼ばれる植物がキーワードとなるモチーフとして登場する。熊澤尚人監督の神秘的な演出が光る印象的な場面だが、洋介(松山ケンイチ)がはじめて美紗子を抱くとき、洋服を脱がせるとオナモミがぎっしりと詰まった美紗子の身体が露わとなる。無数のオナモミは、頭上からも2人の上に降りしきる。彼女が持つ愛は、とげとげしく、触れれば痛いが一度オナモミのようにくっついたなら、離れることはもうない。求めていたのは、棘ごと抱きしめてくれるまさに洋介のような相手だったのだということが、狂おしいほどに伝わってくる場面である。


劇中の台詞にもあるが、沼田まほかるの原作でも「私のアナタ」というワードが繰り返し使われる。「アナタの私」ではなく、「私のアナタ」……。この言葉に、『ユリゴコロ』の愛の形が形容されている。愛する人のことは所有できなくとも、愛を抱えて生きていくことはできる。「アナタの私」として生きていくことができなかったとしても、私の中のアナタだけは永遠に存在し続ける。


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 洋介は美紗子にとっての、陣治は十和子にとっての、「たった1人の恋人」である。一生背負うこととなる業を背負いながらも、たった1人の最愛の人を愛しぬこうとする女。殺人という業を背負ってしまった美紗子もまた、洋介に深く愛されたように、どんな人間であっても、必ず誰かに愛される存在であること。


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 映画を観始めたとき、彼女たちの持つ異質さにもしかしたら顔をしかめるかもしれない。それでも、ためらわずに最後まで見届けて欲しい。愛を知らずに彷徨っていた孤独な魂が本物の愛に辿り着いたとき、私たちはきっと、驚くべき真実に胸を震わせることになるのだから。

なかなか素敵な的を得てる記事だったので…
「きみ鳥」は原作よりも映画の方がすんなり作品に入りやすいかもしれません。(なかなか読破できないでいる)
どちらの作品も、本当に男性が女性に対して形は違えども容赦のない愛をささげております。

美紗子はそれを感じながら苦しみ、そして相反して幸せを感じるけれど、十和子は最後の最後、陣治の究極の愛を知ることで、封印してきた自分の業と愛を感じた。どちらの作品も最後まで見てはじめて改めて愛を感じ、前半の不快な気持ちを昇華させられる純愛映画なんだと感じられる不思議な作品です。

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